08.10.27 カン・セジョン(イ・ジョンジェ)との運命的な出逢い Part 3

 心が通じ合えば言葉なんていらないけれど

『カン・セジョン』


 タイフーンで一番好きなシーンは、カン・セジョンが武器庫中尉に言葉少なく手紙を託すところです。

 イ・ジョンジェの演技の巧妙さにしみじみ感嘆したのは言うまでもありませんが、相手の武器庫中尉も特に好きな脇役です。

 非公式な作戦に荷担した責任を一手に負わされるリスクも顧みず何の躊躇もなく、先輩カン・セジョンの依頼を受けて短時間で

 完璧な準備に最善を尽くします。その潔さは最後の手紙を預かるシーンに集約されており、また、この中尉がどれほど仕事が

 できる人物か良くわかります。


『武器庫中尉、カン・セジョン』


 このシーンが特に好きな理由は他にもあり、それは何故かデジャブ(既視感)を感じるからです。私は確かに同じような場面を

 (もちろん出撃するような特殊なことではないと思いますが)体験している気がします。ところが、相手が黙って聞いていること

 をいいことに、往生際悪く喋りまくりました。

 「悪いわね。行って来るけど、いろいろ言われたら全部私のせいにしていいからね。嫌だと言ったのに逆らえなかったから自分

 も被害者だと言いなさいよ。彼女に宜しくね。元気でね。あぁ、そう言えば私の机の下の段の引き出しに、福砂屋のカステラが

 入れっぱなしだわ。昨日もらったのよ。食べてくれる? あ〜カステラ嫌いだったわね。そうそうお母さんが好きだったわよ。

 日持ちしないから持って行きなさい。とにかく宜しく、たぶん帰って来れないから...ありがとう」

 こんなに喋らなくても通じ合えるカン・セジョンと武器庫中尉の信頼関係が羨ましいです。

 話は少し脱線しますが、シーホークで向かう最後の決戦、結末がどうなるかを私はドキドキして観る必要がありませんでした。

 「海軍特殊先鋭部隊」対「海賊」の戦いは海軍が圧倒的に有利なことが明白だったからです。海賊が勝利するには、仲間の

 隊員例えば一番頼もしいユ大尉がカン・セジョンを裏切って海賊に荷担する、関ヶ原の合戦のような事態(西軍絶対有利の

 状況下、小早川秀秋の寝返りにより勝敗が逆転した)が起こった時くらいしか考えられませんでした。

 隊員の1人1人が人間兵器と言われるほどの戦闘能力を持ち、また年齢的にも経験は十分なうえ身体能力も最盛期を維持

 しているはずで完璧な装備と相まって、そう確信出来ました。1人で戦うつもりでいた海賊シンに最後まで協力したソムチャイ

 やトトなど海賊仲間の友情は、儚く切なく美しく、胸が締め付けられました。


『コルト パイソンだと思われる回転式拳銃、グロック17、H&K MP5 A5(短機関銃)』


 この出撃には、釜山のホテル前で使用したグロック17(カーチェイスではベレッタM92)をH&K MP5 A5(短機関銃)

 とともに使用します。H&K MP5 A5の画像の光線は「レーザーサイト」と言うレーザーの光学照準装置で、

 命中率を向上させるほか、相手に光線を当てることで威圧する目的にも使用されます。

 あくまでも私の想像ですが「グロック17は強化プラスチック製で軽量な為(これは事実です)マル秘の方法で空港検査に引っ

 掛からないことが可能?であり(この部分は妄想です。専門家の皆さま許して)もともとカン・セジョンがいつも身につけてタイ

 から持ち込み、ベレッタM92は、国情院が車とともに用意したモノではないかと...」 タイのピーターを撃った暗くて自信が

 ないコルト パイソンだと思われる回転式拳銃、ロシアのラドムVIS-wz1935も、国情院の現地駐在員が用意して、到着した

 カン・セジョンに密かに渡したものだと思います。


『カン・セジョンとH&K MP5 A5+レーザーサイト、レーザーサイトの光線があたる海賊シン 』


 宿命と運命の違いから見る「この世が地獄」の解釈

 タイフーンで二番目に好きなシーンは、自分でも意外ですがカン・セジョンが絡みません。海賊シンが冒頭で奪ったレシーバー

 キットと引き替えに核廃棄物を手に入れるために向かったロシアの液化気体工場責任者、パシリーとの会話部分です。

 弟をチェルノブイリ事故で失ったパシリーは核廃棄物について「あれは本来、地獄にあるべきものだ」と言い放つのに対して、

 海賊シンの答えは「おれにとっては、この世が地獄だ」でした。この「この世が地獄だ」こそ、例え私に、カン・セジョンとの

 出逢いが無かったとしても「タイフーン」に共感出来る点です。一般的解釈では、海賊シンのこれまでの悲惨な人生を「地獄」と

 言っているありきたりなセリフに聞こえるかもしれませんが、私は違う見方をしています。

 それには先ず、宿命と運命について少し触れたいと思います。「宿命」とは、この世の中に命を授かったときに既に決まっている

 もの、例えば日本人の女性で戦後高度成長期に生まれたなど変える事の出来ないもの、自らの進化を果たすために、自らの

 意思で選択した人生の課題。それに対して「運命」とは「宿命」という人生の課題を果たすために必要なエネルギー、自ら築き

 上げられるもの。と私は認識しており、このシリーズのタイトルが、カン・セジョンとの「運命的出逢い」であって「宿命的出逢い」

 でないのは、そのためです。


『ロシアの液化気体工場責任者パシリー、海賊シン』


 いずれにしても「自らの進化を果たすために自らの意思で選択した人生の課題」は大抵容易なものではなく、誰にとっても大なり

 小なり「この世が地獄」であり、非常に端的に真理を付いている言葉だと感じるのです。だからと言って海賊シンが、苦難の人生

 を自ら選び取ったのだから仕方ないと言っているのでは決してありません。海賊シンの宿命とは別に、もっと容易な宿命を

 選んで生まれてきた人であっても隣国で起きている不幸な出来事を見過ごすのは自らの進化を停滞させることになるからです。

 海賊シンの行為が正しくないとわかっていても、そこまで追いつめられた真実に目をそらさず見据えることこそが大事であり、

 正しくない行為であっても、人々の喚起を呼び起こす役割は果たしている点で救われるところがあるかと思います。

 三番目に好きなシーンは、Part 1で紹介したカン・セジョンがラドムVIS-wz1935を海賊シンに向けながら結局撃てなかった

 ところです。言い換えれば不謹慎にも珍しいラドムの発火を期待するマニアを見事に最後の最後まで欺くシーンでもあります。


 地球規模で「遠交近攻」を「遠交近交」に、近い国と仲良く出来たなら

 海賊シンが味わった地獄を地上から無くすためには、どうすれば良いのでしょうか。

 これまで中国の歴史に興味を持って多くの本を読んできた蓄積からキーワードとなる言葉があり、それが「遠交近攻」です。

 遠交近攻とは中国の戦国時代に范雎(はんしょ)が成功させた、36計逃げるが勝ちで有名な「兵法」の中の23計の政策を指し、

 遠方の国と親しくして近い国を攻め取ること。遠い国を攻めれば費用もかかり兵士も疲れる、近い国を攻め、遠い国とは同盟を

 結んで背後から牽制(けんせい)するのが得策だと言う理論です。洋の東西を問わず、隣接するからこそ諸々の問題は起こりや

 すく、いつの世でも世界各地で国境紛争、領土・領海問題が起き、争いが絶えることはありません。「近い国同士が仲良くする」

 ことこそ、世界平和のためには、どうしても必要なことではないでしょうか?


『最近一番感銘をうけた本、利川 壽安窯で購入したお気に入りの青磁』


 でも、理屈抜きに仲良くする訳にはいかないのが現実で、遠交近攻は地政学(地理的な位置関係が政治・国際関係に与える

 影響を研究する学問)的見地からみると海洋国家の日本が、歩んで来た道として必ずしも間違いとは言えず、今日の繁栄を

 もたらした要因と言っても過言ではありません。

 地球温暖化の問題が待ったなしだと世界中で急ぎ議論されているのと同じように、近い国同士が仲良くし合うことも、急がなけ

 ればならない重要な課題です。こうしている間にも、北朝鮮では食料不足から餓死する人、政治的に迫害され獄死する人、

 いつになっても帰れない拉致被害者がいます。それには南北の平和的統一が不可欠であり、日本はそのために韓国と仲良く

 して後押ししていかなければなりません。こんなことを書くと「言うだけなら簡単だが、いったい何か出来るんだ」と叱られそう

 ですが「出来ることはある」と思います。


 では、いったいどうするの?

 私は自国が加害者だと言う過去の不幸な歴史をしっかり認識したうえで、そして現在進行形の領土問題等で双方の譲れない

 言い分があることをもきちんと認識したうえで、嫌われても、後ろ指をさされても、ジョンジェさんの国だから韓国が好きです。

 私は自国の謝罪と補償が自身では十分だったと感じるものの、加害者の経験も被害者の経験も無いのに結論を出す権利は

 無いと思うので、浅はかと言われようが、騙されていると言われようが、自分の国だから日本が好きです。

 相手を理解する努力を惜しまず、ジョンジェさんを愛して韓国を愛して、自分を愛して日本を愛して、時に過去を振り返りつつ、

 現在を歩き、未来も見据えて、嫌韓と嫌日の狭間も、いばらの道も、地道な草の根交流を、やがて本当に理解し合える間柄に

 なる日まで諦めないで続けて行きたいです。私達の仲間の1人が1人の韓国人と仲良くなって分かり合えたら、それを少しずつ

 でも、みんなが続けたなら、それだけで十分成功だと思いませんか? 韓国に旅行するばかりでなく、身近でも知り合いになれ

 る機会は結構あるはずです。気の遠くなるような時間と労力を惜しまず、積み重ねて続けることで、複雑に絡まり合った誤解の

 糸が少しずつ解けてゆくことを信じています。


『前売り券に付いて来たバッチの台紙 表と裏、東京都交通局の乗車券(先輩ファンの方より譲って頂きました)』


 オ・ミンさんの「セジョンの gif collection」も後半に突入しました。

 今回は19世紀半ばにアイルランドで発生した大飢饉をモチーフに制作されたコンセプトアルバム「INISHMORE」のメイン組曲

 「Inishmore (Forsaken Heart)」「Inishmore」を使用しました。

 組曲は3部作なので最終章の「Danny Boy」も最後に紹介します。

 「カン・セジョン(イ・ジョンジェ)との運命的な出逢い」は今回が最終回ですが「セジョンの gif collection」は続きます。

 オ・ミンさんの「gif collection」「RUSH」は、どれもアニメーションと同様の原理で制作されており、非常に数多くの画像を要する

 超大作です。暫く充電期間を設けたあとに、クライマックスシーンの制作を再開してくださるとのことですので、楽しみに待ちたい

 と思います。オ・ミンさん、どうか、ごゆっくりお休みになって、また素晴らしい作品を宜しくお願いします。

 今後の出撃シーンは「RIOT」の中でも哀愁感が漂わない爽やかな疾走系「Flight of the Warrior」を、お母さんへの手紙を読む

 シーンは詩の内容で表現しようと「Soldier」を予定しています。「ソルジャー 荒れ狂う海を進み 力強く立つ 勇ましく自由な心で

 祖国を守る」
と歌っています。戦闘シーンは、Part 2でも少し触れた壮絶なスピード感と哀愁感が絶妙な「Dance Of Death」

 インストロメンタルの代表曲と言われる「Narita」、前期の爽やかな疾走系  「Silent Scream」を使用する予定です。


 MV『セジョンの gif collection-7(制作 オ・ミンさん) RIOT Inishmore (Forsaken Heart) & Inishmore 』


『「Soldier」「Inishmore」「Danny Boy」等が収録されている RIOT CDジャケット、シリマン大学構内から望むタノン海峡』


 新しいものを受け入れる勇気

 東京生まれ東京育ちの私が、勝手に故郷と決めて時々帰省しているフィリピンのヴィサヤ諸島は素朴で美しい楽園です。

 文句を言いながらようやく慣れたデジタルカメラで、温暖化の影響が比較的少ない美しい珊瑚礁(アポ島)を撮っています。

 アポ島の珊瑚が美しいのはネグロス島ドゥマゲッティ市にあるシリマン大学海洋研究所が保護に力を入れ、一日当たりの

 ダイバー数制限や着底禁止・グローブ禁止などの厳重なルールが守られてきたからです。このことは継続的な努力がいかに

 重要かを私に教えてくれました。でも残念なことに、そのような一部の努力だけでは限界が近づいて来ていることも事実です。

 Part 1で紹介した銀塩カメラ ニコノスRSは、COCOM規制(冷戦期に資本主義諸国で構成された共産主義諸国への軍事

 技術・戦略物資の輸出規制、或いは禁輸のための対共産圏輸出統制委員会の規制)の対象となり、海外への持ち出しには

 当時の通産省にその都度許可が必要だったうえ、許可をとって持ち出しても、女性のひとり旅に携帯するカメラとしては特殊

 過ぎて怪しく映ったのか、先々で誤解を招くことになりました。この小さくて可愛いデジタルカメラは、そんな心配も無用です。

 古いものへのこだわりを捨て、新しいものも受け入れる勇気が時に大切ですね。


『SEA&SEA製デジタルハウジングDX-8000G、デジタルカメラ8000G、ワイドコンバージョンレンズ0.6x(画角17mm相当)』


 セジョンさん、休暇を利用してヴィサヤ諸島へ遊びに来て下さい。


  『フィリピン特有のダイビングボート、アポ島サンクチュアリ(2008年2月撮影)』


 映画「タイフーン」を通じて私が感じたこと考えたことを勝手に述べて参りましたが、独り善がりで熱すぎる文章にお付き合い、

 本当にありがとうございました。誤解を招くといけないので最後に一言、趣味的軍事研究は戦争を肯定するものでは決してなく

 平和な世界の実現と言う恒久的課題の足がかりを見つけるため、現状を知る意味で必要なものと理解して頂ければ幸いです。

 それから、私を「タイフーン」に導いてくれた2人のR子、ありがとう… 宜しければ、イ・ジョンジェさんの健康と活躍を祈り

 ながら波の音と海鳥の鳴き声が心地よい 「RIOT」 「Danny Boy」 を聴いて下さい。




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